ここまで、ISO感度・F値・シャッタースピード、そしてP・A・S・Mの撮影モードについて解説してきました。これらの知識は写真だけでなく、動画を録画するときにも役立ちます。

動画撮影では、写真のように1枚の明るさを決めるだけではなく、動きのなめらかさ・背景のボケ・明るさ・ノイズをバランスよく整えることが大切です。

難しく感じるかもしれませんが、基本の考え方は写真と同じです。ISO感度・F値・シャッタースピードの役割を理解していれば、動画撮影でも設定に迷いにくくなります。

 この記事では、ISO感度・F値・シャッタースピードの知識を活用して、動画を録画するときに役立つ基本的な考え方を初心者向けに解説します。

動画撮影でも露出の基本は同じです

動画でも、明るさを決める基本はISO感度・F値・シャッタースピードです。

  • ISO感度:映像の明るさを補う設定です
  • F値:明るさと背景のボケ方に関係します
  • シャッタースピード:動きのなめらかさに関係します

写真では、その場その場でシャッタースピードを大きく変えることがあります。しかし動画では、シャッタースピードをむやみに変えると動きの見え方が不自然になりやすいため、写真とは少し考え方が変わります。

動画ではフレームレートを先に決めます

動画を撮るときは、まずフレームレートを決めます。フレームレートとは、1秒間に何枚の画像を記録するかを表す数値です。

カメラでは「24fps」「30fps」「60fps」のように表示されます。fpsは「frames per second」の略で、1秒間のコマ数を意味します。

  • 24fps:映画のような雰囲気にしやすいです
  • 30fps:日常の動画やYouTube撮影で使いやすいです
  • 60fps:動きがなめらかで、スポーツやスローモーションにも向いています

初心者の方は、まず30fpsを基準にすると扱いやすいです。動きの多い被写体や、あとでスローモーションにしたい場合は60fpsを選ぶと便利です。

シャッタースピードはフレームレートに合わせます

動画撮影で特に大切なのが、シャッタースピードです。写真ではブレを防ぐために速いシャッタースピードを使うことがありますが、動画で速すぎるシャッタースピードにすると、動きがカクカクして不自然に見えることがあります。

動画では一般的に、フレームレートの約2倍のシャッタースピードを目安にします。

フレームレート シャッタースピードの目安
24fps 1/50秒前後
30fps 1/60秒前後
60fps 1/120秒前後

この目安にすると、動きに自然なブレが残り、見やすい動画になりやすいです。たとえば30fpsで撮る場合は、シャッタースピードを1/60秒に設定すると自然な動きに近づきます。

 動画でシャッタースピードを速くしすぎると、明るい場所では撮りやすくなりますが、動きがパラパラした硬い印象になりやすいです。動画では写真よりもシャッタースピードを固定して考えることが大切です。

F値は背景のボケと明るさを決めます

動画でも、F値は背景のボケ方と明るさに関係します。F値を小さくすると背景がボケやすくなり、被写体を目立たせやすくなります。人物撮影や商品紹介動画では、F値を小さめにすると一眼レフらしい雰囲気を出しやすいです。

反対に、F値を大きくすると背景のボケは少なくなり、全体にピントが合いやすくなります。歩きながら撮る動画や、風景をしっかり見せたい動画では、F値を少し大きめにすると失敗が少なくなります。

  • 背景をぼかしたい場合:F値を小さくします
  • 全体をはっきり写したい場合:F値を大きくします
  • 明るく撮りたい場合:F値を小さくすると光を多く取り込めます

ただし、F値を小さくしすぎるとピントの合う範囲が狭くなります。動画では被写体が少し動くだけでもピントが外れやすくなるため、初心者の方はF2.8〜F5.6あたりから試すと扱いやすいです。

ISO感度はできるだけ低めにします

ISO感度は、動画の明るさを補うために使います。暗い場所ではISO感度を上げることで明るく撮影できますが、上げすぎると映像にノイズが出やすくなります。

動画は写真よりもノイズが目立ちやすく感じることがあります。そのため、できるだけ低いISO感度で撮影し、暗い場合は照明を足したり、F値を小さくしたりして明るさを確保するのが基本です。

  • 明るい場所ではISO100〜400を目安にします
  • 室内ではISO400〜1600を目安にします
  • 暗い場所では必要に応じてISO感度を上げます

ISO感度は便利な設定ですが、最初から高くしすぎるのではなく、明るさが足りないときの補助として使うと画質を保ちやすくなります。

動画撮影ではMモードが使いやすいです

動画では、明るさが途中で急に変わると見づらい映像になりやすいです。そのため、慣れてきたらMモードで撮影するのがおすすめです。

Mモードでは、F値・シャッタースピード・ISO感度を自分で決められます。動画ではシャッタースピードをフレームレートに合わせて固定し、F値でボケ方を決め、ISO感度で明るさを調整する考え方が基本です。

  • フレームレートを決めます
  • シャッタースピードをフレームレートに合わせます
  • F値でボケ方を決めます
  • ISO感度で明るさを整えます

最初は難しい場合、AモードでF値を決めて撮る方法もあります。ただし、撮影中にカメラがシャッタースピードを変えてしまうと、動きの見え方が変わることがあります。動画に慣れてきたら、Mモードで設定を固定するほうが安定しやすいです。

 動画撮影では、シャッタースピードを固定して、F値とISO感度で明るさを調整する考え方が基本です。慣れてきたらMモードを使うと、映像の見た目を安定させやすくなります。

明るすぎる場所ではNDフィルターが役立ちます

動画ではシャッタースピードをフレームレートに合わせて固定することが多いため、晴れた屋外では映像が明るくなりすぎることがあります。

写真であればシャッタースピードを速くして明るさを抑えられますが、動画ではシャッタースピードを速くしすぎると動きが不自然になりやすいです。そのような場面で役立つのがNDフィルターです。

NDフィルターは、レンズに入る光の量を減らすフィルターです。サングラスのような役割をしてくれるため、明るい屋外でもF値を小さくしたまま撮影しやすくなります。

背景をぼかした動画を屋外で撮りたい場合は、NDフィルターがあると設定の自由度が高くなります。

ピントと手ブレにも注意しましょう

動画では、ピントと手ブレも仕上がりに大きく影響します。写真では1枚だけピントが合っていれば良いですが、動画では撮影中に被写体が動くため、ピントが外れると目立ちやすくなります。

人物を撮る場合は、顔や目にピントを合わせることを意識すると見やすい動画になります。カメラに顔認識や瞳AFがある場合は活用すると便利です。

また、手持ちで撮影すると映像が揺れやすくなります。カメラを両手でしっかり持つ、脇を締める、三脚を使うなど、できるだけ安定させて撮ることが大切です。

  • 人物は顔や目にピントを合わせます
  • 手持ち撮影ではカメラをしっかり構えます
  • 固定して撮る場合は三脚を使うと安定します
  • 歩きながら撮る場合は手ブレ補正を活用します

音声も動画の大切な要素です

動画では、映像だけでなく音声も大切です。どれだけきれいな映像が撮れていても、音が聞き取りにくいと見づらい動画になってしまいます。

カメラ内蔵マイクでも録音はできますが、周囲の雑音や風の音を拾いやすい場合があります。人の声をしっかり録りたい場合は、外部マイクを使うと聞き取りやすくなります。

また、撮影前に音がきちんと入っているか確認しておくことも大切です。動画撮影では、明るさやピントだけでなく、音声にも注意しましょう。

まとめ

動画撮影でも、ISO感度・F値・シャッタースピードの知識はとても役立ちます。写真と同じように明るさを決める基本でありながら、動画では動きのなめらかさや映像の安定感にも関係します。

  • 動画では、まずフレームレートを決めます
  • シャッタースピードは、フレームレートの約2倍を目安にします
  • F値は、背景のボケ方と明るさを調整します
  • ISO感度は、明るさを補うために使います
  • 動画に慣れてきたら、Mモードで設定を固定すると安定しやすいです
  • 明るい屋外では、NDフィルターが役立つことがあります
  • 動画では、ピント・手ブレ・音声にも注意が必要です

最初から完璧な動画を撮る必要はありません。まずは30fps、シャッタースピード1/60秒を基準にして、F値でボケ方を決め、ISO感度で明るさを整えるところから始めると分かりやすいです。写真で学んだ基本を動画にも活かすことで、撮影の幅が大きく広がります。